普通方式の遺言の種類

遺言の方式には、何があるの?
遺言の書き方には、おおまかに分けると普通方式と特別方式がありますが、特別方式の遺言は、緊急時の遺言の方式であるため、ここでは割愛します。
普通方式の遺言には、以下の3つがあります。
先に結論を言いますと、費用はかかりますが、遺言の内容が確実に実現されるという観点から、公正証書遺言がオススメです。
※公証人手数料は、日本公証人連合会のホームページで最新の情報を見ることができます(上部メニューの「公証事務」から「10 手数料」へ)。
自筆証書遺言(民法968条)

遺言者が、遺言の全文、日付および氏名を自分で書いて、これに押印することにより作成するもの。
なお、相続財産の目録を添付する場合は、パソコンなどで作成できますが、ページごとに署名と押印が必要です。
おもな長所
- すべて遺言者本人がすれば、費用が不要です。
- 本人の都合でいつでも書けます。
- 証人が不要です。
おもな短所
- 法的な不備がある場合、相続が開始したあとに紛争のもとになるおそれがあります。
- 相続が開始したら、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
-
次の人などが保管しなければなりません。
- 遺言者本人
- 遺言者の死亡をすぐ知ることができて信頼できる人
※遺言書を貸金庫に入れると、遺言者の相続が開始した時、取り出しに共同相続人全員の同意が必要になるため、オススメしません。
- 紛失、偽造、変造、破棄、隠匿のおそれがあります。
公正証書遺言(民法969条)

遺言者が、証人2人以上の立ち会いのもと、遺言の内容を口頭で述べて、それを公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書として作成するもの。
または、あらかじめ作成した書面を公証人に提出して、まとめてもらうこともできます。
おもな長所
- 公証人が作成するため、法的な不備がありません。
- 家庭裁判所での検認手続きが不要です。
- 原本が公証役場に保管されます(遺言者などが謄本や正本を保管することもできる)。
- 紛失、偽造、変造、破棄、隠匿のおそれがありません。
おもな短所
- 公証人手数料(内容による)が必要です。
- 証人2人以上の立ち会いが必要です。
秘密証書遺言(民法970条)

遺言者が、遺言の全文、日付を記述(代筆、ワープロ、点字でも可)した書面に署名、押印したものを封書に入れ、遺言書に押印した印章で封印し、証人2人以上の立ち会いのもと、公証役場に記録を残して作成されるもの。
おもな長所
- すべて遺言者本人がすれば、内容を秘密にできます。
- 記述は代筆、ワープロや点字でもかまいません。
- 公証役場に記録が残りますので、遺言書が遺言者本人のものであることが公証されます。
おもな短所
- 法的な不備がある場合、相続が開始したあとに紛争のもとになるおそれがあります。
- 相続が開始したら、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
- 公証人手数料(定額)が必要です。
- 証人2人以上の立ち会いが必要です。
-
次の人などが保管しなければなりません。
- 遺言者本人
- 遺言者の死亡をすぐ知ることができて信頼できる人
※貸金庫に入れると、取り出しに共同相続人全員の同意が必要になるため、オススメしません。
- 紛失のおそれがあります。